当院では、人工関節の手術が必要な患者さんに対して、術前から術後までフォローできる体制を整えております。手術をご希望のかたは、連携病院(岩手県立磐井病院)などに紹介いたしますので、お気軽にご相談ください。
人工関節置換術
について
人工関節置換術とは、元々持っていた機能を果たすことができなくなった関節を除去し、人工の関節に置き換える手術です。一部分を置き換える方法と、全部を置き換える方法に分かれます。
股関節や膝関節に行われることが多いですが、肩関節や肘関節、足関節などの部位でも置き換える(人工関節を入れる)ことは可能です。
痛みが治るだけではなく、機能回復の面でも高い効果が期待できる方法ですが、リスクがないとは言えません。そのため、症状や重症度、年齢、生活習慣なども考慮して行うことが重要です。前もって、手術の内容やリスクをきちんと把握してから受けるか否かを決断する必要があります。
変形性股関節症
変形性股関節症とは、足の付け根が正しい位置に収まらなくなることで、股関節がスムーズに動かせなくなる病気です。歩いたり走ったり、階段の上り下りをする時に、痛みが出るという症状が起きます。
人工股関節置換術
変形して傷んだ自分の骨を除去し、骨盤に金属製の受け皿、大腿骨に金属製の支柱とボールを取り付けます。その間に人工の軟骨であるライナーを挟み、関節が滑らか動かせるようになります。ライナーは、ビタミンEが配合された超高分子ポリエチレンでできており、長期間の使用でも耐用できます。患者さんの骨の状態や生活習慣などを考慮して、大きさや種類を決定します。
治療の流れ
皮膚切開
院長が得意とする方法は、前方アプローチと言って、股関節の前方を12cmほど切開して行う方法です。筋肉を切り離さずに手術するため、術後のリハビリがスムーズに行える利点があります。また、術後関節が脱臼する心配が少ないため、しゃがんだり正座したりといった日常生活動作がしやすいのも特長です。
骨の切除
損傷した部分を除去して表面を整え、人工関節を設置できるよう準備します。
人工股関節の設置
人工関節を設置し、骨セメントやネジで固定します。
変形性膝関節症
変形性膝関節症とは、加齢などによって膝関節に位置する軟骨が変形し、壊れてしまう病気です。主な症状としては、炎症や痛み、腫れなどがあり、進行すると歩行に支障をきたします。女性に多い傾向があり、日本では年間90万人が発症しています。初期段階から適切な治療を受けることで、悪化を防ぐことが可能です。また、第3の治療としてPFC-FD(再生医療)を当院ではおこなっております。
人工膝関節置換術
よく使われているのは、大腿骨(だいたいこつ)側と脛骨(けいこつ)側それぞれの金属製コンポーネントの間に、超高分子ポリエチレン製のインサートを挟み入れたタイプの人工膝関節です。膝蓋骨(しつがいこつ)の置換が必要な場合は、膝蓋骨コンポーネントを用います。
また、膝関節の内側・外側の片方のみを置き換えるために使う人工膝関節もあり、膝の状態・置き換える範囲に合ったものを使います。
治療の流れ
皮膚切開
膝前面の皮膚を12~15cm程度、切開します。
骨の切除
損傷部分を除去してから、大腿骨コンポーネントの形に合うように大腿骨を切り、表面を整えます。脛骨も大腿骨と同じ手法で処置して、必要に応じて膝蓋骨も整えていきます。使用する機種により後十字靭帯は残すことがあります。
人工膝関節の設置
コンポーネントを大腿骨・脛骨・膝蓋骨に設置します。必要に応じて、骨セメントで固定します。
手術後の
リハビリについて
手術も重要ですが、リハビリも手術と同じくらい重要です。
手術後、入院している間に3週間前後のリハビリを行うと思いますが、退院後も切れ目なくリハビリを行う必要があります。当院では、知識・実績ともに豊富な理学療法士が治療を担当します。
また、痛みがあるとリハビリがスムーズに進まなくなるため、術後の痛みのコントロールは特に重要です。術前から術後の疼痛コントロール、リハビリまで、全ての治療に責任を持ち、患者さんが少しでも早く社会復帰できるよう努めております。