副腎疲労とは、病気ではありませんが、慢性的に疲れている人にみられる状態です。
副腎という臓器が酷使され疲れてしまう症状で、子供から高齢者まで幅広くみられます。
副腎は、元気の元になるホルモン「コルチゾール」を分泌しパワーを出す役割があります。
コルチゾールが分泌されなくなると、やる気が出なくなり、いつも疲れている状態になります。最近は、子供も疲れており、夜遅くまでの塾通い、SNSによる人間関係で神経が緊張状態になっています。起立性低血圧、イライラしやすい、集中力がない、不登校の子供たちの原因になることも少なくありません。
病院へ受診し、検査しても「異常なし」と診断されます。
<症状>
・寝ても疲れがとれない
・やる気が出ない
・不眠
・便秘
・首や背中、腰が痛い
・記憶力が低下した
・甘いものやコーヒー、しょっぱい食べ物が欲しくなる
・好きだったことに興味がなくなる
・イライラする
<副腎疲労の経過>
①ストレスに対処しようと常にコルチゾールが出続けます。肉体的にも精神的にもハイになり仕事が充実しているように感じます。
②疲れが出て体調を崩しやすくなります。アレルギーが出やすくなり、肩こり、腰痛を感じ始めます。
③最後は疲れ果てて、コルチゾールが出なくなり 動けなくなります。「怠け心が強くなってしまった」と自分を責めがちになります。
<原因>
①休息の不足、過度なストレス
②食生活の問題→リーキーガット症候群
過剰な糖質・肉食・アルコール摂取、小麦に含まれるグルテン、乳製品に含まれるカゼイン、アスパルテームなどの人工甘味料で腸内環境が悪化しリーキーガット症候群を併発します。リーキーガットは、いわゆる「腸の壁に目に見えないレベルの穴が空いている状態」です。吸収すべきではないもの取り込まれてしまい炎症がおこり、免疫過敏になり、副腎疲労やアトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギーが引き起こされます。さらには、脳の機能低下が引き起こされ、うつやメンタルの不安定、アルツハイマー病のリスクに繋がります。
<治療>
1)腸内環境を良好にする食習慣
・夕食は軽くする、夜8時から朝6時までは何も食べない。
・昔ながらの日本食
漬物・味噌汁・納豆・鰹節などの発酵食品、海藻・果物・野菜・こんにゃくなどの食物繊維
青魚(あじ、さんま、イワシ)
消化酵素を含んだり刺激する食品(大根、パイナップル、レモン、大葉、紫蘇など)
グルタミンやハーブを摂取するのも効果的です。グルタミンは体内に存在するアミノ酸で筋肉を作るサポート、消化管バリアの維持、免疫力向上など重要な役割を担っています。
グルタミンは肉、魚、卵、大豆などに含まれていますが、熱によって変性してしまうため、刺身や卵かけご飯などで摂取すると良いです。難しいこともあるのでサプリもおすすめです。
2)栄養不足の改善
カロリーは満たされているのに栄養不足なのが現代人です。
①ビタミンC
栄養素のリーダーです。副腎はビタミンCがたくさん必要な臓器です。
副腎を酷使するとビタミンCを大量に消費してしまいます。お疲れの方は、確実に不足しているので、経口摂取では吸収が不十分となるかもしれません。当院でもおこなっている点滴療法もおすすめです。ビタミンCはストレスと戦うための材料です!
②マグネシウム
ほぼ全ての細胞の代謝に関わっている、重要な栄養素です。神経の興奮を鎮める作用があります。穀類、豆類、ナッツ類、海産物、野菜、岩塩、サプリメントでとります。
エプソムソルトを入れた風呂(硫酸マグネシウム)で皮膚から吸収する方法も良いです。
③ビタミンB
各種代謝反応の補酵素、これがないとエネルギーが産生されません。
小麦、カップ麺、砂糖の代謝に必要で、現代人は浪費されています。
玄米、野菜、肉など幅広く含まれていますが、慢性疲労の状態では、不十分になりがちなので、サプリも検討ください。
③タンパク質
体を作る栄養素、酵素の元となり体の重要な役割を果たします。
肉、魚など食べていてもビタミンBの不足があると、タンパクの再合成ができなくなり、いくら食べても「タンパク質不足」となります。
タンパク質を効率よく吸収するには、一緒にレモン水や梅干し、大根おろしをとると良いです。大根おろしつきのさんまの塩焼き、パイナップルと調理されたハワイアンステーキ、酢豚など。
④ビタミンD
副腎疲労の人は、ほぼ全員が不足。ビタミンD不足で気力低下、うつ状態となります。
不足すると免疫調整がしづらくなり、腸の環境も悪化します。食事では、サケなどの動物性食品や干し椎茸などから。サプリメントは、コストパフォーマンスが抜群です。
⑤亜鉛
細胞の再生を促し、酵素の活性に重要です。低下すると細胞の機能低下、傷が治りづらい、髪が抜けやすくなる、爪が弱くなる・・など。
亜鉛は、牡蠣などの魚介類、動物性タンパク質、ナッツや豆類に多く含まれますが、サプリメントが有効、てきめんに爪や髪の毛が丈夫になります。
⑥自律神経のバランスを整える食事
大豆、穀類、胡麻、バナナ、グルタミン、トマト、チーズ、
亜麻仁油、えごま油、DHA、EPA、ナッツ、カツオ、ニンニク、バナナ
3)血糖スパイクを抑える
リーキーガットや慢性炎症があると、食後血糖が通常の人よりも跳ね上がります。血糖の急激な乱降下を繰り返すのが血糖スパイク。そのたびにコルチゾールも急放出され副腎疲労が悪化します。食後30分から3,4時間で急激な眠気がおこるのが特徴です。
甘いものを常飲常食する人、筋肉が少なく運動をしない人は注意です
4)生活習慣の改善
・体を温める
・居酒屋ではなくカフェで1人の時間をもつ
・湯船に浸かる習慣
・1日15分情報を遮断する
・仕事をまわりに任せる
・ストレスを回避する
5)ファスティング(断食)
飢餓状態にすると全身の細胞の機能回復、活性化が期待できます。ファスティングといかないまでも、摂取カロリーを普段の70%に減らすと寿命が伸びる可能性があると言われています。