腰痛でクリニックを受診される方は非常に多いです。急性腰痛症いわゆるぎっくり腰や、下肢のしびれや痛みを伴った、腰部脊柱管狭窄症など、原因はさまざまですが、今回は仙腸関節痛について
仙腸関節は、尾てい骨の上にある仙骨と、その左右にある腸骨(寛骨)の間の関節です。それらは靭帯で強固につながっているため、数ミリ程度動くだけですが、その関節にわずかなずれが生じると痛みが出ます。
多くの場合は左右どちらかの腰殿部の痛みです。痛みが、そ径部や下肢までひびくことがあります。
症状の特徴として、椅子に長く座っていられない、痛い方を下にして寝ると痛みが悪化するというかたが多いです。
診断には、まず整形外科的な診察を行います。ワンフィンガーテストといって、一番痛みが強い部位(仙腸関節)を人差し指1本で指せることが多いのが特徴です。また骨盤部の圧迫や、股関節をひねる動きで仙腸関節の痛みが生じるかを確認します。仙腸関節はほとんど動かない関節ですから、レントゲン、MRIなどの画像検査では異常を認めないことがほとんどです。
安静や鎮痛剤(痛み止め)、湿布で症状を和らげる治療を行います。また、局所麻酔薬によるブロック注射で痛みを良くすることで、仙腸関節のずれが解消され、徐々に良い方向に向かうことが期待できます。
さらに、当院では、リハビリテーションも行います。仙腸関節のずれを治したり、腰や股関節を動かす訓練、筋力訓練を行うことで仙腸関節を安定させることを目指します。