日本では、年間約10万人が高血圧による脳・心血管疾患で死亡しているとされています。高血圧は平均余命を男性で2.2年、女性では2.9年縮めているとの試算もあり、日本人の死亡原因として高血圧は大きな存在であり、寿命にも影響しています。
収縮期血圧 ≧ 135mmHgまたは拡張期血圧 ≧ 85mmHgおよびその両方が高血圧の診断基準となっています。
<高血圧になりやすい人の背景>
①肥満 ②加齢 ③塩分が多い食事が好き ④生活が不規則 ⑤運動不足
⑥タバコを吸う ⑦過度の飲酒 ⑧ホルモンバランスの崩れ ⑨脂肪肝がある
<薬以外で血圧を下げる方法>
高血圧の患者さんの中には、「血圧の薬はできるだけ飲みたくない」という方もおります。
薬以外で、少しでも血圧を下げる方法についてご紹介します。
①ダイエット
BMIが25以上ある方は、高血圧になるリスクが1.5倍~2倍ほど高いということが分かっています。体重5kg減らすと、血圧は2.5から10mmHgも下がります。
血圧が10下がると脳卒中の発症リスクが27%、冠動脈疾患心筋梗塞狭心症による死亡率が17%減るということがわかっております。 肥満の方は、まずはダイエットです。
②脂肪肝を改善する
肥満がなくても生活習慣、ホルモンバランスの乱れにより脂肪肝=肝臓に脂肪が溜まっている状態となります。脂肪肝の方は高血圧になりやすいことが分かっています。
脂肪肝を改善するには、まずは糖質を減らしてください。
控え目にすべき食品:ご飯(白米)、うどん・パスタ、じゃがいも、さつまいも、果物、お菓子やジュースなど
積極的に摂るべき食品:肉、魚、豆類などのタンパク質、卵や乳製品
③塩分を減らす
塩分を1日6g未満にすると高血圧の方は5.4mmHg下がるというデータもあります。
ラーメンやうどんなど麺類のスープには1杯5g程度の塩分が含まれ、味噌汁や梅干し、漬物には1,2gの塩分が入っています。
減塩のためにもカロリーハーフのマヨネーズ、酢を味付けに使うのはおすすめです。
酢は、中性脂肪を分解し糖質の上昇を抑えたり、抗酸化作用も発揮してくれます。
塩の代わりに、オリーブオイルも代用しましょう。オリーブオイル自体に血糖や血圧を低くする効果もあります。
④DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)
アメリカで考えられた血圧を下げるための食べ物の考え方で、果物、野菜、ナッツなどを食事の中に取り入れるというものです。
DASH食を取り入れることで、上の血圧が8から14mmHgくらい下がるというデータも出ています。
・果物や野菜にはカリウムがたくさん含まれており、カリウムをたくさん取ることでナトリウムを外に出してくれます。ナトリウムは身体の中で血圧を上げる大きな要因です。
・マグネシウムは血管の収縮を抑える効果があります。ナッツや海藻にはマグネシウムがとても多く、血圧下がります。特にピーナッツには、レスベラトロールというポリフェノールの1種も含まれていて血圧を下げてくれます。無塩の皮付きピーナッツがおすすめです。
・カルシウムは塩分の吸収を抑えてくれます。乳製品は積極的にとると良いでしょう。
・食物繊維は余分な塩分を体外にだし血圧を下げるのに貢献します。オクラ、モロヘイヤ、山いも、海藻類、こんにゃく、りんごなどに多く含まれます。
・タンパク質は血管を健康に保つために欠かせない成分
不足すると、血管の弾力性が失われてもろくなり、脳血管障害を起こすリスクが高まります。生活習慣病になると、肉を食べてはいけないと勘違いしている人もいますが、たんぱく源である肉も、脂肪の少なめな部位を中心に適量に食べましょう。植物性たんばく質も、納豆などの大豆製品などからすすんでとりましよう。特に納豆は血液をサラサラにしてくれます。納豆にはビタミンB2もあり糖質や脂質の代謝を促しダイエットにも最適です。
⑤その他の食品
・緑茶
緑茶に含まれるカテキンやテアニンには、血管をゆるめ、血糖値を抑え、脂肪燃焼の効果があります。1日5杯程度飲みましょう。
・生の青魚(アジ、ブリ、イワシ、さば)
血糖やコレステロールも下げて、血管をしなやかに保つ効果があります。
・ねぎ
アリシンという栄養素が糖質代謝を促しダイエットにも有効、血圧も下げてくれます。
⑥運動
特に下半身の筋トレを行うと下半身の血を心臓に戻すポンプの力が強くなります。
この力が弱いと心臓は血圧を高めて、血を押し戻そうとしてしまいます。足の筋肉を鍛えることは降圧薬と同じような効果があるのです。
⑦禁煙
タバコ絶対にダメです。ニコチンが血管を傷つけ動脈硬化の原因にもなります。
⑧その他の生活習慣
・ストレスを避ける
・締め付ける服は着ない
・ぬるめのお風呂に15分以上入る
・食後30分以内は軽い運動をする
・睡眠時間は7,8時間はとる。