当院の消化器専門外来とは
食道・胃・十二指腸、小腸、大腸といった消化管と、肝臓・胆のう・膵臓をトータルに診療するのが消化器内科です。
当院では、女性の消化病専門医・消化器内視鏡専門医が、幅広く対応しております。診察から内視鏡検査まで当院で行うことができ、症状の原因にスピーディーにアプローチいたします。消化器系の症状の中には胃がん・大腸がんのような、重症化すると命に関わる病気のサインとなっているものもあり油断は禁物です。
主な病気
胃カメラ検査で分かる病気、大腸カメラ検査で分かる病気は下記からご覧ください。
胆のうの病気
胆石
胆汁の成分が固まって石状・砂状になり、胆のうに溜まってしまう病気です。女性の方や肥満傾向の方、中高年の方に多いと言われています。胆石の原因としては、胆汁の成分であるコレステロールやビリルビンなどが胆汁に溶けきらなくなり、結石へ変わるためと考えられています。自覚症状に乏しく、検査時に偶然発見されることも多いですが、食後に増強する右上腹部の痛みや嘔吐・吐き気などの症状が現れることもあります。こうした症状がありましたら早期の受診をお勧めします。
なお、治療としては、脂肪を控える食事を心がけるなど生活習慣の改善や、石(結石)を溶かすための薬の服用、胆のうを摘出する手術などがあります。
胆嚢炎
胆石が胆嚢炎の出口で詰まったり、細菌感染などが起きたりすることで、胆のう炎を引き起こします。食後に右上の腹部の痛みや背部痛が起きるのが特徴です。また場合によっては、嘔吐・吐き気・発熱も伴います。血液検査や超音波検査により炎症の状態や胆のうの腫れなどを確認します。
なお、治療としては、絶食状態になっていただき、抗生物質を投与して細菌感染を抑えることが基本ですが、状況によっては、余計な胆汁を体外へ放出させる処置・手術が必要になる可能性があります。
胆のうポリープ
胆のう内にできたポリープで、ほとんどはコレステロールが分離することでできた良性ポリープです。しかし、悪性のポリープ(胆のうがん)もあり、注意が必要です。腹部超音波検査で確認できますので、胆のうポリープが発見された場合は、定期的に検査を行って大きさの変化をこまめにチェックしていきましょう。
なお、10㎜を超えるサイズのポリープの場合、胆のう摘出する手術を検討します。
膵臓の病気
急性膵炎
アルコールや胆石・高脂血症などが原因で、膵臓の炎症が急激に起きる病気です。時に、重症化し、多臓器不全となり、命に関わる危険性もあります。
慢性膵炎
主にお酒によって膵臓の線維化が起きてしまい、膵臓機能が低下する病気です。割合は低いのですが、自己免疫によって慢性膵炎になる方も存在しております。腹部の痛みや背部痛、体重減少、下痢などの症状が見られます。さらに病状が悪化して機能低下していくと、自覚症状は少なくなりますが、膵臓の機能低下によって栄養の吸収不良が起きることで、どんどん痩せていきます。さらに、痩せていくにも関わらず、インスリン分泌低下により糖尿病を発症することもあります。
血液検査や画像検査を行い、診断します。主に薬物治療による対症療法を行います。進行すると入院となり、膵臓の管の通りを良くする内視鏡治療を行ったり、手術療法を行ったりする必要があります。慢性膵炎と関係する糖尿病には、基本的にインスリン治療が行われます。
膵のう胞、IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)
液体が溜まった袋状のものを「のう胞」といい、「腫瘍性のもの」と「炎症性のもの」に分類できます。腫瘍性のほとんどは、IPMNで自覚症状に乏しく、良性であることが多いことから経過観察を行うことが多いです。しかし、時間の経過によって悪性化することもあり、膵のう胞と診断された場合、定期的に精密検査を受ける必要があります。
また、IPMNの場合、膵臓を含む他の臓器にがんを合併しやすいと言われております。一方で、近年の研究では、必ずしもそうとも言えないという報告もあり決着はついていません。いづれにせよ、IPMN経過観察中の方は、膵臓以外の臓器にも十分注意を払う必要があります。
肝臓の病気
A型肝炎
A型肝炎ウイルスの感染によって引き起こされる肝炎です。A型肝炎ウイルスは便から排出されますが、これに汚染された飲食物を口にすることで感染します。また、ウイルスを持っている調理人の手から食べ物へ付着したり、A型肝炎ウイルスが集まった魚介類を生食したりすることで、うつることもあります。
約1ヶ月の潜伏期間を経て発症し、発熱や黄疸(おうだん)、倦怠感などの症状が現れます。ほとんどは数週間程度の入院で治るため、後遺症は残りません。症状は自覚できないほど軽度な場合もありますが、「劇症肝炎」と言って命に関わる場合もあります。
衛生状態が良い日本では自然感染する機会がほとんどなくなったため、60代以下の日本人の多くは免疫を獲得していません。そのため、東南アジアなどの国へ渡航する際は、ワクチン接種を受けましょう。
B型肝炎
B型肝炎ウイルスの感染者の血液や体液を介して感染して発症する肝炎です。母子感染や性行為による接触、輸血、臓器移植、刺青、針刺し事故などの感染経路で発症します。
治療としては、抗ウイルス療法(インターフェロン療法・核酸アナログ製剤療法)と、肝庇護(かんひご)療法(内服薬・注射薬)があります。
C型肝炎
感染者の血液や体液を介してC型肝炎ウイルスに感染することで発症する肝炎です。感染すると70~80%の確率で持続感染して、慢性肝炎や肝硬変、肝がんへと進行する恐れがあります。
近年では様々な薬が開発され抗ウィルス薬の内服(ダクラタスビルとアスナプレビルの併用療法)を行うことで、約85%のウイルスを除去できるようになりました。
脂肪肝
肝臓に余分な脂肪が蓄積した状態で、自覚症状は乏しいです。常習飲酒や肥満、糖尿病、高脂血症、などが原因だと言われています。
脂肪肝が慢性化すると肝硬変、さらに進行すると肝がんに至る恐れがあることがわかってきました。適度な運動やバランスの良い食生活・節酒などを心がけ、脂肪肝を改善していきましょう。
非アルコール性脂肪肝炎
お酒を飲む習慣がほとんどない方が脂肪肝炎になり、肝硬変、肝がんへ進展することもあり、これを「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」と呼びます。自覚症状はほとんどなく、肥満や糖尿病、高脂血症などが原因だとされています。確定診断を下す際は、血液検査などでは判断が難しい時は、肝臓に針を刺し、肝臓の組織や細胞の一部を採取する「肝生検」を行う必要があります。
また、生活習慣の改善も重要で、低エネルギーでかつ栄養バランスの良い食習慣を心がけ、適度な運動も行いましょう。生活習慣の改善を行っても治らない場合は、薬物療法が行われます。
腸の病気
腸閉塞(イレウス)
腸管が閉塞することで、通過障害が起きる状態です。大腸がんや術後の癒着などが原因で生じるケースもありますが、薬の副作用で腸の動きが低下し、生じることもあります。嘔吐や腹痛、便秘、腹部の膨満感、おならが出ないなどの症状が現れます。
虫垂炎
一般的に「盲腸」と呼ばれていますが、実際は、細長い虫垂の炎症によって起きるものです。初期には胃周辺の不快感があり、少しずつ痛みが右下へ移動するのが特徴です。炎症が軽度の場合は抗菌薬で改善しますが、状態によっては開腹手術が必要なこともあります。
健診・ドックで
ひっかかった方へ
健康診断・人間ドックで、胃バリウム検査異常、便潜血検査・ピロリ菌検査などで陽性反応が出た方は、消化器内科で精密検査を受け、重大な病気が潜んでいないか確認してください。