MRIとは?
MRIとはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略です。X線や超音波などは一切使用せずに、磁石から発生する「磁力」と、ラジオのような「電波(電磁波)」を使用して人体の断面を観察する装置のことを指しています。MRIは人体を構成している「原子核」から信号を収集します。人体には数多くの原子核がありますが、MRIでは、より多くの信号を収集するために、人間の90%を構成する水分「水素原子核(プロトン)」から情報を集めています。
MRI検査の特徴
一度の検査で、いろいろな方向から体の断面図を撮影します。病巣の立体的な把握をするために有効です。
とても安全な検査で、磁気を使用するため、X線による被曝の心配は全くありません。
X線、CT、超音波診断装置など、これまでの機器では発見しにくかった病変も見つけることができる検査です。
整形外科では診療対象となる、背骨・関節・靭帯などの病気がないかを調べる上で、高い診断能力を発揮します。MRI検査は腱・靭帯などの状態を画像化することが可能で、精密な検査や確定診断を行う上で重要です。
そのほかの分野でも、脳や血管、肝臓、膵臓、胆嚢、腎臓、婦人科疾患など幅広く精密な診断が可能で、重大な病気の早期発見にも非常に役立っています。
「特に問題なかった」と正しく知ることも診察の現場においては非常に重要と考えます。
各部位のMRI
頚椎MRI
主な症状
手のしびれ、痛み、違和感、頚部痛、肩こり、こわばりなど
主な病名
頸髄症、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、頚椎腫瘍、変形性頚椎症ほか
腰椎MRI
主な症状
腰部の痛み、足のしびれや痛み、足のつっぱり感、ぎっくり腰、違和感など
主な病名
腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰椎分離症、腰椎腫瘍、圧迫骨折ほか
肩MRI
主な症状
肩があがらない、動かすと痛む、腫れてきた、ボールを投げる時の違和感や痛みなど
主な病名
腱板断裂、関節唇損傷、肩関節周囲炎、肩インピンジメント症候群、骨軟部腫瘍ほか
膝MRI
主な症状
膝の痛み、腫れてきた、膝が曲がらなくなってきた、屈伸の時にひっかかりがある、膝の力が抜ける、スポーツで膝を捻ったなど
主な病名
変形性膝関節症、半月板損傷、大腿骨骨壊死、前十字靭帯損傷、関節リウマチ、骨腫瘍ほか
頭部MRI
MRIは頭部の血管、梗塞、腫瘍、脱髄疾患、認知症に関連した脳萎縮などCTより有用な為、スクリーニング検査の第一選択です。
くも膜下出血を発症した日本人の約90%は脳動脈瘤の破裂から発症するとされていますので、今までに検査をしたことがない方は脳動脈瘤の有無を検査しておくことをおすすめします。
主な症状
頭痛、意識障害、めまい、立ちくらみ、嘔気、物忘れ、手足の力が入らない、しびれ、耳鳴りなど
主な病名
脳梗塞、脳腫瘍、脳出血、脳動脈瘤、脳血管狭窄、認知症、くも膜嚢胞ほか
頸部MRA
頸部MRA検査では、頸部(首)の血管の様子を立体画像で写し出します。
頸部には、心臓から脳へ栄養や酸素を送る太い血管(頸動脈)があります。
頸部MRAは「脳梗塞」の大きな原因となる、頸動脈の動脈硬化の程度がわかります。
脳検査と頸動脈MRAの検査を併用して行うことで、より確かな診断が可能です。
腹部MRI
主な症状
腹痛、背部痛、体重減少、貧血、黄疸、吐き気、血尿、頻尿、乏尿、鼻血や歯肉出血しやすく止まりづらい、高血圧など
主な病名
肝硬変、肝血管腫、肝のう胞、肝腫瘍、脂肪肝、膵のう胞、膵がん、腎のう胞、腎腫瘍、胆嚢壁肥厚、胆石、脾腫、上腹部大動脈瘤、上腹部リンパ腫ほか
MRCP
MRCPとは
magnetic resonance cholangiopancreatography(MR胆管膵管撮影)の略語です。
膵臓がんや胆管がんの大部分は膵管、胆管に異常をきたすため、MRCPでこれらの異常をとらえることにより、早期発見に繋がります。エコーでは確認できない総胆管や主膵管の全体像の確認も可能です。
主な症状
腰痛、背部痛、腹痛、吐き気、腹部違和感、緑色便、体重減少、食欲不振など
主な病名
膵がん、胆嚢がん、胆管がん、肝がん、胆管拡張症、胆石、総胆管結石、IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)ほか
骨盤MRI
主な症状
不正出血、生理痛、月経異常、頻尿、乏尿、血尿、残尿感、排尿痛、排尿障害、貧血、下腹部痛、腰痛など
主な病名
子宮頚がん、子宮体がん、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣のう腫、卵巣がん、膀胱がん、前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺がんほか
当院のMRIの特徴
間口が広いオープンボア設計で開放感
一般的なMRIのボア(開口経)は直径60㎝程度ですが、当院が導入しているMRIのボアは直径71㎝と広めの造りです(オープンボア設計)。内部は明かりがともっていて開放感があります。暗くて狭い空間で行う検査が怖い、苦手という方にも受けていただきやすい機器となっています。
通常のMRI検査で出る騒音を90%カット
MRI検査において、閉所空間とともに患者さんに負担を強いるのが検査中の音になります。この音の不快感から患者さんを少しでも開放すべく、当院のMRIは、通常のMRI検査で出る騒音を90%低減する仕様になっております。ご心配な方には耳栓をお渡ししますので、お申し出ください。
検査の流れ
MRI希望の方は、電話で事前に予約をとることもできます。お電話でご相談ください(最終的には、医師の判断によりおこなわれます。)。
受付
初めて当院へお越しになる方は、「保険証」を必ず受付にお出しください。
また、当院への紹介状をお持ちの方は、受付に紹介状をお出しください。
診察
医師による診察を受けて頂き、MRI検査の指示を出します。
安全チェック
問診票に基づき、安全に検査が行えるかどうか、看護師と技師がダブルチェックします。
検査
検査室にてMRI検査を受けていただきます。検査時間は検査部位や目的、条件によって変動しますが、15-30分程度です。
結果
検査の結果を説明します。現在の病状、今後どのように対応していくかなどお伝えいたします。
MRI検査の注意点
検査室内に非常に強い磁場が発生しています。金属や電子機器を持ち込むと、発熱、発火、金属の吸引、電子機器の誤作動などの危険性があります。検査室内には金属類を絶対に持ち込まないでください。
下記の処置を受けた方、該当する方はMRI検査を受けることができない、または主治医への確認が必要です。
- 心臓ペースメーカー、植込み型除細動器
- 心臓人工弁、胸骨ワイヤー
- 人工内耳、人工中耳
- 脳室―腹腔シャント、腰椎―腹腔シャント
- 脳動脈瘤コイル・クリップ(チタン製は問題ありません)
- 体内ステント(消化管、血管、脳)
- 人工関節、プレート、スクリュー
- 金属製避妊具
- 歯科磁石性インプラント
- アートメイク(眉毛、アイライン、特殊な口紅)、入れ墨
- 妊娠中の方
下記のような金属を含むものは体から外す必要があり、検査当日の使用は控えてください。
- インスリンポンプ、持続血糖測定器
- 入れ歯、ブリッジのある歯
- 補聴器、可動性義眼
- かつら、ヘアピン
- メガネ、カラーコンタクト
- 時計、指輪、ネックレス、ピアス
- 貼付薬剤(ニコチンパッチ、湿布)、カイロ、ピップエレキバン
- 保温性下着(ヒートテックなど)、金属の入った下着、ベルト
- 金属を含むメイク(アイシャドウ、マスカラ、つけまつげ、ラメ入りの化粧、マニキュア)
- スーパーミリオンヘアー(ヘアーボリュームアップスプレー)
- 財布、携帯電話
検査時のお願い
- 上記チェック項目をお読みいただき、安全スムーズな検査にご協力ください。
- 検査当日は、メイクは控え目にしてお越しください。
- キャンセルの際には、お早めにご連絡をお願いいたします。
MRCP(胆管膵管撮影)を受けられる方は食事制限をお願いします。
午前検査の方
前日の夜9時以降から検査まで絶食し、来院してください。
午後検査の方
検査の6時間前から検査まで絶食し、来院してください。
水分は、検査の2時間前から飲まないでください。